
携帯電話から発生される電磁波の特徴

ひとことで電磁波といっても、電磁波の波長や周波数により、いくつかの種類に分類されます。スマートフォン(以下、スマホ)などの携帯電話で利用されているのが高周波電磁界です。高周波電磁界は、携帯電話だけでなくテレビ放送などでも使用されていますが、特に注目したいのが電子レンジにも使用されている点です。
高周波電磁界を浴びると、体にエネルギーが吸収されるため、熱を保つようになります。よく、「スマホをポケットに入れていたら火傷をした」というのは、温かくなった電子機器による低温やけどではなく、電磁波による影響と考えられます。スマホなど携帯するときは、ポケットなどに入れるのではなく、バッグに入れて体からの距離を離すにすることが大切です。
電磁波は特に頭部や脳への影響に注意が必要

携帯電話は電磁波を発生する電子機器のなかでも、特に注意が必要となるものです。それは、携帯電話が多くの人にとって、日常生活で必要な物であるから。電磁波対策の基本となるのが、電子機器の使用する時間を減らしたり、距離置くようにすることですが、日常必需品となれば難しいでしょう。
特に、携帯電話の場合は、頭部に密着させて使うため、電磁波の50%以上が頭部へ影響を与えるものです。人間の頭は丸い形状をしており、エネルギーが1か所に集中してしまう危険性もあり、頭の近くで使用する携帯電話の付属製品には気をつけるべきです。
最近では、音楽を聴くとために、スマホなどの関連機器であるワイヤレスヘッドホンです。ワイヤレスヘッドホンは、Bluetoothという無線通信システムが利用しており、付属機器から電磁波を直接浴びることになります。スマホで通話や音楽を聴く場合は、ワイヤレスのヘッドホンではなく、昔ながらのコード付きのイヤホンを使うようにしましょう。
携帯電話の使用環境で電磁波の量が増える

スマホなど携帯電話からの電磁波を抑えるには、使用環境を見極めることも大切です、たとえば、バスや電車など高速で移動している場合、携帯電話の通信に必要となる携帯基地局からの通信をスムーズに行うために、より強い電磁波が発生しています。強い電磁波を生じるのは、地下などの電波が弱い場所でも同様です。
携帯電話を使うときは、高速移動中や電波の弱い場所などは避けるようにしましょう。問題がないのであれば、思い切って携帯電話の電源をオフにして、外の景色を楽しむのもよいかもしれません。
大人よりも子供のほうが電磁波の影響を受けやすい
世界で懸念されている電磁波の健康被害ですが、日本ではそれほど問題視されていません。主要な先進国である日本ですが、電磁波対策については後進国といえるでしょう。一方、電磁波対策において先陣を切る欧米諸国では、電磁波防護基準の法制化、電磁波測定方法の規格化が着々と進められています。
特に、海外の電磁波対策で注目したいのが、子どもへの対策です。大人よりも体の小さい子どもは、電磁波のばく露を受けやすく、成長期の体に影響を与えるものです。
世界では、すでに携帯電話から発生する電磁波から子どもから守るための取り組みが行われています。たとえば、イギリスでは子どもが携帯電話を使うのは緊急のケースのみにしています。また、携帯電話会社の広告には、子どもに誤ったイメージを与えないように、未成年を起用するのを控えるよう勧告しています。
そして、アイルランドやオーストラリアでも子どもの携帯電話の使用を控えるよう勧告しています。さらに、ドイツでは子どもだけでなく、大人も携帯電話の使用を控えるべきであると勧告しています。
こうしてみると、いかに日本の携帯電話の電磁波に対する子どもへの取り組みが遅れているかが分かりますね。
携帯電話の電磁波が与える子どものメンタルヘルス

近年では、テクノロジーの発達により、子どもの方がより長い年月をかけて携帯電話による電磁波の影響を受けているといえます。最近では、育児の合間にスマホが利用されるケースもあり、子どもが携帯電話の電磁波を受ける機会はますます増えています。
子どもが携帯電話の電磁波を受けることに注意すべきなのは、体の健康だけではありません。携帯電話などの電磁波は、精神面にも影響を与える可能性が示唆されています。
アメリカの経済誌では、いわゆるスマホ世代の若者のうつや自殺率が急上昇していることを発表しました。海外の国では、子どもの健康のために電磁波を規制する動きが見られていますが、日本では1人ひとりが問題意識を持って対策を行うのが現状です。
子どもに携帯電話を使用させるときは、あらかじめ使用する時間や時間帯を決めることが大切です。また、夜間はスマホが無線通信を行わないように、電源をきちんとオフにしましょう。
WHO認めた!携帯電話の電磁波、がん危険性も
2011年5月31日、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC、本部フランス・リヨン)は携帯電話の電磁波と、がん発症リスクとの関連性についての調査結果を発表しました。そこで携帯電話の電磁波は、5段階のリスク評価で上から3番目の「2B」=「人に対する発がん性が疑われる」に指定されました。
発表によると、携帯電話の電磁波の影響で「グリオーマ(神経膠腫)」と呼ばれる脳腫瘍を引き起こす危険度が増す恐れがあるとのことです。
携帯電話を1日30分、10年以上使い続けている場合、グリオーマの発症危険性が40%増加したという衝撃的な研究結果も紹介されました。
IARCは、体から離せば電磁波の影響が小さくなるとして、イヤホンマイクの使用や、本体が頭部に触れないメールを使うことなどを提案しています。
ところが、英国消費者協会によれば、イヤホンのコードがアンテナの役割を果たし、携帯電話機を直接耳に当てた場合の3倍の電磁波が頭部に伝わるという研究報告がなされています。
携帯電話が生活の一部となっている現代。やはりきちんとした電磁波対策を講じる必要があります。
携帯電話を少しでも安全に使うためには

アメリカのカリフォルニア州では、携帯電話の電磁波の影響を抑えるために、ガイドラインを策定しています。スマホなど携帯電話を使用するときの注意点は次のようなものがあります。
・携帯電話をポケットに入れない ・携帯電話で通話するときは、イヤホンマイクを使用するようにする
・夜寝るときには、携帯電話を枕元に置かない
・電波が悪いときは、携帯電話を使用しない
・動画のダウンロードなど大量のデータ通信を使用するものは最小限にとどめる。
それでも携帯電話はなくてはならないもの
今や携帯電話は大人だけではなく、子どもを犯罪から守るアイテムとしても必須の電化製品となりました。携帯電話を使うとなれば、どんなに気をつけていても、電磁波のばく露をゼロにすることはできません。